脚本技術を学びたい人にオススメ 『映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと』
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
- 作者: シド・フィールド,安藤紘平,加藤正人
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2009/03/31
- メディア: 単行本
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映画好きの友人に、脚本を勉強するための本として、本書をオススメされたので、読んで見ました。
結論から言いますと、素晴らしいほどの良書です!
抽象論になることなく、良い脚本を構成するためのテクニックを具体的に記述しています。
シナリオを勉強したい人、シナリオを分析的に理解したい人にぜひ読んでもらいたいです。
シナリオの構造は「状況設定」「葛藤」「解決」の3つからなる
本書における根底の思想がこれです。
どの章でも繰り返し、その重要性が論じられています。
第一幕・「状況設定」
第一幕は、ストーリーを立てて、キャラクターを設定し、ドラマ上の前提を示す。そして、状況を説明し、主要キャラクターとその他のキャラクターの関係を設定する。脚本家は十分程度で、これらを組み立てなければならない。なぜならば、観客は往々にして、十分程度でその映画が好きか嫌いかを決めるからだ。何が起こっているのか分からなかったり、オープニングが漠然としていて退屈であると、観客の集中力は途切れてしまう。
映画の場合、はじめの10分程度で「この映画はこういうものですよ」と提示しなければなりません。
TVアニメでも、同じことが言えると思います。
私的に、今期のアニメのオープニングとして上手かったのは、『ウィザード・バリスターズ 弁魔士セシル』の第1話です。 梅津監督は映画好きということもあってか、ド派手なアクションを展開しつつ、「魔法と法」という物語の前提条件を上手く説明していました。
第二幕・「葛藤」
この第二幕において主人公は、脚本のなかで、達成しなければならない目標の前に立ちはだかる障害と対決しなければならない。主人公の邪魔となる障害を作り出せば、それを乗り越えて達成するというストーリーになる」
第三幕・「解決」
第三幕はストーリーに解決を与える役割を果たす。ただし、エンディングとは違う。エンディングとは違う。エンディングは、脚本の最後の特別なショットがシークエンスなのである。
ここまではよく言われることで、とくに新鮮さはありませんでした。
もっとも興味深かったのが、次のプロットポイントの話。
プロットポイント
これらの三つの部分が脚本全体を形づくるとしたら、どのようにしてそれぞれをつなげていけばよいのだろうか? その答えが、物語の転換点、プロットポイント(物語の転換点)である。プロットポイントを、第一幕と第二幕の最後に置くのである。プロットポイントとは、アクションを起こさせ、物語を違う方向性に向かわせる事件やエピソードなどを指す
このプロットポイントの話は、大変勉強になりました
これを注意して映像作品を観賞すれば、そのシナリオを構造的に理解することが出来るようになります。
詳しくは本書をぜひ読んでください。一見の価値があります!
名作アニメ映画『エースをねらえ!』に見る、三幕構成
氷川竜介や岡田斗司夫など、業界人から絶賛されている劇場版『エースをねらえ!』。
私も大好きです。ちなみに、DVDは持っているのですが、Blu-rayは持ってません…
本作のシナリオ構造を三幕構成で分析してみたいと思います。
状況設定(第一幕)…新入生の岡ひろみは、お蝶夫人にあこがれてテニス部に入る。宗方仁が新コーチとして就任、練習がかつてないほどハードになる。
プロットポイントⅠ…宗方にその才能を見出され岡は、レギュラーに抜擢される
葛藤(第二幕)…嫉妬によりる嫌がらせ、ハードな練習。藤堂との恋。いろいろありつつも、お蝶夫人との対決を前にふさぎ込んでしまう岡
プロットポイントⅡ…宗方へ電話、すべてがふっ切れる
解決(第三幕)…お蝶夫人に勝つ、宗方死ぬ
プロットポイントを起点に物語が転がっているのが分かると思います。
基本的に、面白い言われる映画は、このシナリオ構造に忠実かと。