フリントは風に舞う。

アニメ語りメイン。出崎、富野好き。実写は目下勉強中。

『劇場版 モーレツ宇宙海賊』 「少年が男になる物語」 王道なアニメ映画

 

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週末に『劇場版 モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵』を観てきました。TVシリーズは視聴済みです。

アニメ映画としては極めて王道で、職人がつくった一本という感じ。

アニメ映画の王道たらしめているのは、本作は極めてシンプルな「少年の成長物語」だからです。新キャラクター・無限彼方は、父親の影に悩まされている。それが茉莉香に導かれて、自分の医師で未来を切り開いていく。少年がちょっとだけ成長して男になる。そういう意味で、『999』に近く、王道なアニメ映画だと感じたわけです。

だから茉莉香のお話というよりも、彼方のお話だと言える。本来主人公というのは、ドラマのなかで成長が描かれるべき人物であるが、今回の劇場版で茉莉香の成長は感じられなかった。茉莉香は人間として出来上がっている。TVシリーズでも感じましたが、茉莉香の人格はすでに完成されている、そういった意味で、珍しいタイプの主人公だなと思います。『モーレツ宇宙海賊』は成長物語としてはちょっと変わっている。このあたりが『モーパイ』の独自性がある部分であり、もっとちゃんと考察するべきポイントです。

佐藤竜雄監督はバンダイチャンネル アニメのツボ クリエイターズ・セレクションで以下のように語っています。「僕としては『宝島』にしたいなと。茉莉香はシルバー船長たり得るのか、それを問うためのオリジナル展開とキャラクターを用意しています」。シルバーというのは、『宝島』に登場するキャラクターで、わたしが最も好きなアニメキャラクターでもあります。シルバーは、作中で男の理想像として描かれています。『宝島』はシルバーを目標とした少年の成長物語であり、茉莉香が彼方を大人の男へ導くという今回の『劇場版 モーレツ宇宙海賊』と同じドラマの構図を持っています。なので、茉莉香はシルバーたり得てましたよ、と。

ちにみに彼方と一緒にいたオウムのフリントは、出崎統監督の私がもっとも大好きな作品『宝島』に登場する、オウムのオマージュ。まったく同じ名前で、わたしのブログタイトルの元ネタでもあります。

 

その他雑感

  • チアキちゃん可愛い。
  • 亜空間の描写、繊維っぽくて面白かった。宇宙の果ては深海。
  • 電子線のSDキャラが可愛らしかった。劇場版『グレンラガン』のロージェノムのハッキングシーンを思い出した。
  • ロボットが出てきて笑った。

 

むすび

アニメ映画として満足な出来です。

元ネタの『宝島』を再見したくなりました。

その前に劇場版『タイバニ』を観ないといけませんが。