フリントは風に舞う。

アニメ語りメイン。出崎、富野好き。実写は目下勉強中。

藤津亮太『アニメの門生放送! 「たまこラブストーリー」&「ガンダムUC」考察』視聴メモ

機動戦士ガンダムUC

【『ガンダムUC』の構成】

前半
ep1.<作品の構造を示す> 父と子の話 一角獣と貴婦人
ep2.<敵の顔見せ>フル・フロンタルネオ・ジオン残党
ep3.<世間を知る> 敵にもドラマ・人生がある。
ep4. <3を踏まえて自分は?> 

ファーストガンダムを踏襲している。
教養小説的な構成。すべてバナージの行動になっている。

後半
ep5.<動機の再確認> 何でガンダム乗ってんの?
ep6.<未来とは何か> 戦った先に何を求めるのか。フル・フロンタルが示す未来と、主人公が選び取る未来の対比
ep7.<虚無の器を乗り越える>

前半は「人間」中心。後半は「人類」中心。ファーストガンダムニュータイプ論。ファーストガンダムと似た物語構造。

 

ユニコーンはオヤジたちが主役

お父さん当番表
ep1.カーディアス、ep2.ギルボア、ep3.ダグザ、ep4.ジンネマン、ep5.ブライト、eo6.フル・フロンタル、ep7.サイアム?

「父子」の話。十代の子向けにつくっているというより、40十代以上の人、お父さんに向けてつくっている

「バナージ良い子過ぎないか?」現代であれば、鬱屈した子を主人公にしがち。何故、素直なのか? お父さんサイドから子どもをみたとに「良い子だな」と思える。大人たちは、「理想の大人」でもあるが、一方で現実のしがらみに取り込まれている。「自分たちはここまでしか出来なかった」という断念。バナージには「その先」に行って欲しい。唯一悪いお父さんはフル・フロンタル

「意思が未来をつくる」←富野的。「形式」だけでなく、ガンダムの「精神」をなぞる。お父さんの立場からバナージを観る。

ファーストガンダム』から『逆襲のシャア』までを取り込んで、そこにあった要素を分かりやすく提示、テーマを汲む。『逆襲のシャア』にあったような、突然びっくりすることが起きて絶句するということはない。真面目な作品という印象を受けた。理性的にテーマを組んで物語を編んでいる。

ep1.コロニーが自転する描写は初めて。
ep7.タイムトラベル、精神的時間旅行は面白かった。デジタル撮影の透過光的な表現は綺麗だった。アクシズを取り込む謎の光もよかった。

 

感想
とてもおもしろかった。無意識化にあった思いを上手く言語化してもらった感じ。自分は本編を、バナージに共感するのではなく、大人たちに共感して観ていた。そういう意味で、藤津さんが指摘するように、たしかに中年に向けてつくられたフィルムだなと納得。まぁ自分は中年ではないのだが。
「バナージは良い子過ぎない?」という意見に対して。バナージの超理想主義的な性格は、『仮面ライダー鎧武』の紘汰とまったく同じ。さらに言えば、『ガンダムUC』のバナージとリディの関係性と、『鎧武』の紘汰とミッチーの関係性は、同じだと言える。どちらの主人公も超理想主義で、それによってリディとミッチーは闇堕ちする。でも、ミッチーは可愛いから好きだけど、リディはひたすら憎たらしくて嫌い!

 

 

たまこラブストーリー

【三幕構成で分析】
一幕 モチゾウの告白
プロットポイント 飛び石の告白
二幕前半 戸惑うたまこ
プロットポイント モチゾウ「無かったことにして」
二幕後半 受け取る決意
プロットポイント お母さんのカセットテープ、バトンの大会
三幕 休校の日に

 

一幕はもちぞう視点。『アナ雪』と同じ構成。
もち蔵視点にすることで、彼のキャラクターをコンパクトに、素直に説明している。それにより、のちのたまこの描写が活きてくる。この構成にすごく意味がある。もち蔵が告白するまでたまこの部屋にカメラが入らない。たまこのデフォルメされた驚きの描写。たまこはもともと浮世離れしたキャラだから、普通に驚くのではダメ。

もち蔵はたまこより先に大人になってしまった。たまこ「私を置いていかないでよ」、という構成。もち蔵が大人になったことをしっかりと一幕で描いている。TVでは個性がなかったけど、劇場版で好感度が高い男の子に。

おじいちゃんが倒れて救急車。「俺が行くよ」、男を見せる。たまこともち蔵の成長感の違いが出ている。自分の選択が他人にも影響を与える。

みどりちゃんはたまこが好き。トイレ前の会話。後半、再びリフレインされる。みどりが大声を出す場面は、もち蔵の河原で叫ぶのと対になっている。三角関係。

被写界深度の浅い画面を連発。河原のシーンは、広いロングショットでミニチュア写真っぽいニュアンスが画に出ている。夜空をたまこを見上げるシーン。小さい私、それでも世界は動いている。振り幅の大きさが魅力的。

 

感想
ここまでしっかりと三幕構成をやっていたんだなと感心した。画作りはもちろん、物語的な構造も含めて、映画的につくろうとしていたんだなと。
序盤はもち蔵視点、後半はたまこ視点、その「視点の移り変わり」がミソなんだろうな。映画は視点/視線が大事とよく言われることでもあるし。

 

リンク『アニメの門生放送! 「たまこラブストーリー」&「ガンダムUC」考察』
http://live.nicovideo.jp/watch/lv181590360