フリントは風に舞う。

アニメ語りメイン。出崎、富野好き。実写は目下勉強中。

『座頭市物語』を観た

 

座頭市物語 [DVD]

座頭市物語 [DVD]

 

 

公開:1962年
監督:三隅研次
脚本:犬塚稔
原作:子母沢寛
出演:勝新太郎
   天知茂
   万里昌代

 

塩田明彦著『映画術』で本作の演出が評価されていたから観た。内容は何となく知っていたけど、純粋に娯楽として楽しめた。

何と言っても市が魅力的なキャラクターだった。盲人だけど居合の達人。普段は飄々としているけどやるときはやる。そして仁義を通す。日本的なカッコよさを感じる。勝新太郎の演技も独特な味があって良かった。

市のライバル・平手も非常に魅力的に描かれていた。『映画術』でも紹介されていたけど、市と平手が出会うシーンは素晴らしかった。互いに釣りをするだけで、戦闘がまったくないシーンなんだけど、ふたりの殺しの実力がはっきりと見て分かる。これまで、登場人物が市と初めて出会う際、盲目だからといってみんななめて見ていた。しかし、平手は市の独特な佇まいや殺気から、その実力をひと目で見破るのである。効果的にクロースアップのショットが使われており、映像的にもうまく緊張感を表していた。

その他に良かったシーンは、市が平手に按摩をしてあげるところだ。違う組に雇われた用心棒同士でふたりは敵なんだけど、剣の道を極めたもの同志尊敬して接する。「この先ふたりは殺し合う」と想像がつくからこそ、余計にしみじみと感じてしまう。

本来なら市の味方側であるはずの飯岡組の人間が「下衆」に描かれていた。とくに顕著だったのは、妹を兄貴分に売ったり、自分が孕ませた女を殺した蓼吉だ。また、平手を雇っている笹川組の方もやはり「下衆」である。こうした「下衆」に囲まれているからこそ、市と平手の関係性が際立って美しく感じられた。決闘シーンもやはり素晴らしかった。

 

町山智浩の映画塾!「座頭市シリーズ27作品 一挙放送!」<予習編> 視聴メモ


町山智浩の映画塾!「座頭市シリーズ27作品 一挙放送!」<予習編> - YouTube

刑事コロンボに似ている。バカなフリしてるけど、いちばん頭がいい。
三隅研次監督作は見とけ。日本一のチャンバラ監督。チャンバラのバイオレンス描写タランティーノにも影響を与えた。
・シリーズは『ゴジラ』みたいになってくる。「どうやって倒すのか?」

・今の日本映画には無い、世界中の映画とリンクしている良さがあった。