フリントは風に舞う。

アニメ語りメイン。出崎、富野好き。実写は目下勉強中。

劇場版『アイドルマスター』レビュー

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シネ・リーブル池袋で劇場版『THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!』を観てきました。

以下、ネタバレありのレビューです。

 

TVシリーズと同様、「ドラマ」を意識した作品づくり

今までTVシリーズしかつくったことのないアニメ演出家が映画をつくると、 「単に尺が長くなっただけ」 だけで「映画」になっていないことがよくあります。

ですが、本作では、「映画にする」ということをかなり意識して作られてるな、という印象を受けました。

 

春香を軸に物語が組まれていたのもそのためでしょう。

TVシリーズも春香をメインにスポットを当ててドラマを展開させていましたが、今回、TVシリーズ以上に尺が短い映画ということで、さらにそれが顕著に表れていました

 

映画の脚本の基本は、誰の物語かはっきりさせることです。

あれも、これもと、いろんな要素を詰め込もうとすると、ドラマが弱くなってしまうからです。

 

たくさんのキャラがいる『アイマス』ですが、批判を覚悟で春香を主人公としてドラマを組み立てたことは評価できます。

 

あと、レイアウトも広角、標準、望遠と、演出する意図によって、それぞれ使いわけられていたので、それも映画っぽい雰囲気をよく出していました。

TVシリーズもそうでしたけど、さらに今回は凝ったレイアウトが多かったです。

 

また、伏線も上手く貼られていました。

加奈がデブ化するお菓子や、善澤記者が春香にインタビューをするシーンで「そういうところがリーダーには必要なのかもしれない」と言っていたり。

 

春香が「リーダーとしての資格」を獲得していくお話

映画のOPでは、美希がハリウッドにスカウトされたりと、765プロのアイドルたちがすでに立派なトップアイドルとして成長した姿が描かれていました。

TVシリーズでは、「春香」を筆頭にいちアイドルとしてどう成長していくのかをメインに描かれていましたが、本映画では春香がいちアイドルとしてではなく、「リーダー」としてどう成長していくのかが描かれていました。

春香の成長を促す装置として、加奈たち後輩が上手く使われていましたね。

 

ベタではありますが、やはりリーダーとして求められるのは「決断力」でした。

ですが、その「決断力」は「自分の気持ちに素直に」という春香の性格がよく表れているものでした。

 

終わりに

自分は原作ゲームをやっておらず、「プロデューサー」ではありませんが、アニメ版『THE IDOLM@STER』は大好きですし、今回の劇場版も楽しませてもらいました。

アイドルたちの成長物語として「ドラマ」をきちんと描いているのが高評価です。

 

いちばん好きなシーンは、プロデューサーと律子が屋上で会話をするところ。

とくに小突くところはよかったですね。律子の優しを感じられてほっこりしました。

 

錦織敦史は『アイマス』TVシリーズで初監督、今回で初の劇場版監督を経験ということですが、末恐ろしい演出家だと思います。

アニメーター上りの演出家で、これだけきっちりと「ドラマ」を描ける人もそうそういないので。 

 

この劇場版で、彼女たちは成長し切った感があるので、この後春香たちの成長物語として描くのはそろそろ限界かな。

ただ、『アイマス』は金になるコンテンツなので、今後もアニメ化はされていくでしょう。

次はモバマスのキャラをメインに、スピンオフという形になるのかな。