フリントは風に舞う。

アニメ語りメイン。出崎、富野好き。実写は目下勉強中。

2014年4月期アニメ総括

 7月に入り、4月期スタートの1クールアニメはそれぞれ最終回を迎えた。昨夜あたりから7月期アニメが始まっている。
 アニメ入れ替わりの節目にあたり、アニメ視聴上の気持ちの整理をつけるために4月期アニメを軽く総括したい。
 ズバリ言うと、4月期は最高だった。個人的に、この5、6年で一番良かったクールであった。
 その一番の理由が『ピンポン』である。『ピンポン』については、以前に語ったから詳述しない。一言で言うと、こんなにもTVアニメで感動したのは『グレンラガン』以来だった。アニメを見続けてきてよかった……そう感じさせてくれる作品であった。
 その他にも粒ぞろいの作品が多かった。以下、各作品をそれぞれ振り返りたい。

■それでも世界は美しい
 『それでも世界は美しい』は、90年代を感じさせる王道な少女マンガテイストのアニメだった。ツンデレ美少年とちょっと勝ち気な女の子――まさに王道な少女マンガの構造を持っていて、「あー見たことある」と懐かしさを感じた。90年代を代表とする声優・横山智佐のナレーションも相まって、観ていておもわずノスタルジックな気持ちになってしまう。それが心地よかった。
 制作会社もスタジオぴえろということもあり、過剰に情報を足しすぎない、ほどよいつくりもよかった。最近のアニメは、「クオリティ重視」「情報過多」で観ていて疲れることが多い。でも、本作は、肩の力を抜いて見れる「程よいつくり」のアニメであった。
 本アニメは、自分にとって「癒し」であった。ぜひとも2期をやってほしい。

■ハイキュー!!
 原作は未見。ひじょうに丁寧なスポーツアニメだと感じた。同じスポーツアニメである『黒子』『ダイヤのエース』『弱虫ペダル』と比べると、けっこう落ちついた印象がある。バレーがテーマということもあり、選手が縦横無尽に動きまわらないためだろうか。それともフィックスを主体とした画面構成のためか。でも、“熱量”はメチャクチャ高い。上に上げたスポーツアニメが「火山」としたら、このハイキューは「マグマ」というか。
 今後も楽しんでいきたい。

ブレイクブレイド
 劇場版は未見。劇場版の再編集ということで、メカの描写など、映像のクオリティ自体は高い。ロボットの描写も、「破壊」の美学があってカッコいい。
 ただ、お話的には今ひとつといったところ。最終回も「え、これで終わり?」と肩透かしをくらった。
 最終回の、ガンダムハンマーと巨大手裏剣がミックスしたような武器は斬新で驚いた。おそらく本作は『スパロボ』に出るだろう。そのときにあの武器がどのように描かれるか楽しみ。

一週間フレンズ。
 『それでも世界は美しい』同様、本作も「癒し」だった。一週間で記憶を忘れる……という設定や物語には、それほど惹かれなかった。が、とにかくキャラが可愛らしい。のほほんとしたキャラクターに、声優さんの可愛らしい演技が上手くのっていた。何より最高だったのが、口半開きのアホっぽいキャラクター描写だ。
 「健忘症」という設定は、『メメント』からの引用だろうか。

ソウルイーターノット!
 本作もまた、自分のなかでは「癒し枠」だった。大好きな作品であるが、「何が良いのか」はっきりと語りにくい作品である。
 まずはっきりと言えるのが、キャラクターが魅力的に描かれていた。3人娘が仲睦まじく、見ていてほっこりとさせられる。いちばん好きなキャラクターはアーニャだった。ツンデレ可愛いし、早見沙織の演技も抜群だった。
 キャラデザなど絵柄は、いわゆる「萌え系アニメ」なんだけど、映像表現的にはけっこうカッチリしていた。萌えアニメだとアップ気味のショットが多いが、けっこう引き気味だったように思う。そのあたり「ちゃんとドラマで見せよう」という姿勢を感じた。実際、3人の成長を真摯に見つめるようなシリーズ構成をしていた。
 ドラマの葛藤は、つぐみの「アーニャとメメ、どっちを選ぶの?」がメインになっていた。結局、「両方パートナーにする!」という決着の付け方だった。これは「まぁそうだろうな」と思った(笑)。
 ちなみに、すぐに物事を忘れる多々音めめの「めめ」という名前は、「健忘症」をテーマにした『メメント』からの引用である。『一週間フレンズ。』に続き、『メメント』が元ネタということで、変な因果を感じた。
 これも2期が観たい作品である。

ノーゲーム・ノーライフ
 引きこもりでゲームしか取り柄がない兄妹を主人公とした異世界ファンタジーもの。中学生あたりに人気がありそう。老舗のマッドハウスが制作ということで、ちょっと驚いた。
 ツイッター界隈で「成長しない主人公」というのが話題になっていたが、本作の兄妹もまさしくそう。「成長を描く」というよりも、「二人の強さ」にひたすら驚いていくような作品だ。そう考えると、ジョジョ三部のお話の見せ方と通じる部分がある。「一見、勝ち目の戦いにどうやって勝利するのか?」という部分に面白さを感じるからだ。
 正直、惰性で見ていた部分もあるが、何だかんだ楽しめた。これも2期やりそう

■『蒼き鋼のアルペジオ 』(再放送)
 2013年10月に放映された『蒼き鋼のアルペジオ 』の再放送。実は、去年、『アルペジオ』は2話で視聴を断念してしまっていた。3Dの描写には感心させられたものの、お話に魅力を感じなかったからだ。
 でも『アルペジオ』は放送が進むにつれて、けっこう評価が上がっていたようだ。『アニメスタイル』5巻でも特集されていたし。あとあと「観ておいたらよかったな…」と後悔していたところ、今回の再放送があったわけだ。ありがたかった。
 率直な感想としては、ひじょうに良いアニメだった。霧の艦隊のメンタルモデルの成長と3DCGの描写の成長がリンクしていいて、妙な感動をもたらしていた。
 また、「自分は何故アニメが好きなのか?」「何故アニメじゃないとダメなのか?」その問にヒントをくれた部分もある。
 それは、第10話「その身を捧ぐ」を観て思ったことだ。メンタルモデルであり感情を持たないはずのイオナ……群像が死に瀕した際に見せたその表情にドキッとさせられた。
 この「イオナ」というキャラクターは、「アニメ」を象徴するキャラクターである。「アニメ」のキャラクターは、所詮作りものの存在であるからして、彼/彼女が持つ感情も本来ならば「偽物」のはずだ。でも、そんな「偽物」でも我々は感動してしまう……。
 自分がアニメが好きな理由は、今のところ以下のように考えている。“記号”でしかないキャラクターが本物の人間のように見えてしまう瞬間――そのときに生じる一種の「エロティシズム」のようなものに魅了されているのではないか。
 そういえば、私がアニメにハマったきっかけは、幼少期に見た『天地無用!』であった。子供ながらアニメに漂う「エロティシズム」に惹かれていたのではないだろうか……。

■『シドニアの騎士
 『蒼き鋼のアルペジオ 』と並行して観ていたこともあって、「今後TVアニメも3Dの時代がくるなー」と感慨を感じた。『アルペジオ』と比べると、3D技術は若干見劣りしてしてしまう。とくにキャラクター部分に関して。でも、回を追うごとに表現は洗練されていった。「イザナ」の“顔芸”が象徴するように、だんだん人間らしさが深まっていった。
 弐瓶勉作品に触れたのは初めて。良い意味で「不親切」な作風だな思った。あえて説明しないことによって、視聴者の想像力を刺激するような感じ。最近は説明過多な作品が多く、新鮮に感じた部分だ。
 2期の制作が決まっている本作。これも楽しみにしたい。

キャプテン・アース
 けっこう語りにくい作品で困る。少なくとも言えることは、『STAR DRIVER』と同じく榎戸洋司のテイストが色濃く反映された作品ということだ。
 榎戸洋司の作風として感じるのは、「腹芸」だ。それぞれのキャラクターは腹に一物を抱えている。それが緊張感、サスペンスを生んでいる。だから、観ていて疲れる作品でもある(笑)。
 面白いなと思ったのは、悪役である遊星歯車装置が魅力的に描かれていることだ。人類を「餌」としてしか考えていない人間の天敵ではあるが、人間よりも生き生きとしているのが印象的である。このあたり「嫌味」な部分だ。

メカクシティアクターズ
 「新しい世代の作品だなー」という印象を受けた。カゲロウプロジェクトについては全然知らない。
 本作の脚本は、プロジェクトリーダーである“じん”が担当している。この“じん”は、私と同じく90年生まれである。メチャクチャ若い。良くも悪くも新しい感覚を持ったクリエイターという印象を受けた。
 聞くところによると、本作は中学生あたりの年代に人気があるらしい。その理由はどこにあるのだろうか。それぞれのキャラクターたちが、思春期の少年少女なら誰でも持ちうる、普遍的な「コンプレックス」を抱えているところにあるのではないだろうか。つまり誰かしらに感情移入ということだ。
 何だかんだ楽しんで観ていた。ただ、最終回はよう分からん(笑)。説明を全然されず完全に置いてけぼりを食らった。「説明をしない」というのは、意図的ものだろうけど……。

■M3 ~ソノ黒キ鋼~
 佐藤順一×岡田麿里がタッグを組んだダークテイストなロボットアニメ。岡田麿里の「暗黒面」が全面に出ていて、かなり暗い作品である。画面もモノトーンかつ色調を落とした感じで、観ていてどんよりとした気分にさせられる。
 正直なところ、どうせ佐藤順一が監督するならば、もっとほのぼのとした作品が観たかった、という想いがある。とりあえず視聴してるけど……。

悪魔のリドル
 女の子同士が殺し合いを行う、というシリアスな設定の作品。個人的には、ちょっとした合間に見られる、少女たちのささやかなやり取りが好きだった。
 シリーズ構成上、かなり駆け足な作品であったし、物語運びや設定に「?」となる部分もあった。これは1クールという短い尺を考えるとしょうがない部分だろう。アイキャッチのキャラクター説明は、苦肉の策だろう。
 エンディングは「優しい世界」がそこにあって良かった。観たいものを見せてくれた、感じ。
 何だかんだ本作も「癒し」だった。

■selector infected WIXOSS
 『M3』同様、岡田麿里のダークサイドが全面に出た作品。ちょっと前にノイタミナで放映された『ブラック★ロックシューター』に近い。
 カードゲームの販促を目的にしたアニメであるが、「そんなの知らねー!」という感じでやっていて面白い。タカラトミーも寛大だなー。結果的にそれが話題になったのだけれども。
 けっこう人気がある作品だけど、個人的には「そこまで…」という感じ。『とらドラ!』『true tears』も大好きで、岡田麿里ファンではあるけど、岡田麿里が全面に出た作品はちょっと引いてしまう。岡田麿里がマイルドに出た作品が好き。

蟲師 続章
 第1期は観てなかった。ひじょうに丁寧な作品。寓意的なお話で、最近の深夜アニメの中では良い意味で浮いた作品だ。
 現在、6話あたりで止まっている。でも、そこまでハマらなかった。完全に趣味の問題であるが、「分かりやすいドラマ」があるアニメの方が好きなのだ。
 スタッフや監督が自ら出演し、作品の見所を解説した『蟲語』が面白かった。長濵博史は、まさに「気さくなおっちゃん」という感じで、想像していた印象と違っていて驚いた。

弱虫ペダル
 良いアニメだった。キャラクターも魅力的で、ドラマもしっかりしている。マンガ的な「この先どうなるの!?」と思わず期待してしまうような、構成も良かった。

ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース
 恥ずかしながら、ジョジョは原作マンガ未見。物語内容を知らないから、純粋にストーリーだけで楽しめる。
 でも1部、2部と比べると何かが物足りない。勢いを感じられなくなった。その理由はわからない。でも、何か物足りない。

魔法科高校の劣等生
 1話を観て、けっこう期待していたんだけど、色々と残念な部分がある作品だ。ツイッター界隈でけっこう叩かれている(笑)。
 これもまた「新しい世代の作品」という印象がある。本当は有能なんだけど周りから不憫な扱いを受けているというところは、現代の若者の気分を感じるところだ。

■監督不行届
 頭を使わずにリラックスして見られる3分枠のアニメ。これも「癒し」。エンディング曲が毎回楽しみ。

■犬神さんと猫山さん
 どのキャラクターも可愛らしくて癒やされる。
 女子高生=可愛い、動物=可愛い、女子高生×動物=メチャクチャかわいい。


【以下視聴が滞っているアニメ】

僕らはみんな河合荘
 9話ぐらいで止まってる。同じ屋根の下で憧れの女の子と暮らして……というちょい古めの王道ラブコメパターンを踏襲している。それに現代的な感覚を付け足したような感じ。
結局、観ないで終わりそう……。

健全ロボ ダイミダラー
 4話で止まってる。最初は「何だエロアニメか」と予想していたんだけど、むしろ真摯にロボットアニメしてて驚いた。岡田斗司夫が絶賛していた。業界人からも評価が高い。
でも、観るのに疲れるんだよなぁ……。これも観ないで終わりそう。

ラブライブ!第2期
5話まで観た。『ラブライブ!』は、なぜか面白さを感じない。『アイカツ!』や『アイマス』は好きなんだけどなー。お話にもキャラクターにも魅力を感じない。何故、だろうか。

ブラック・ブレット
 8話ぐらいまでは観た。1話がけっこう良い感じのツカミだったが、回を追うごとに「よくあるライトノベルだな」という印象に。

龍ヶ嬢七々々の埋蔵金
 7話まで観た。ノイタミナ枠、倉田英之がシリーズ構成ということで、とりあえずは観続けていた。面白くない。『サムライフラメンコ』の失速もそうだが、最近の倉田英之はどうも調子が悪いように感じる。大好きな脚本家だけに、今後期待したい。